労働組合

労働組合の情宣活動の方法とそこに生じる課題とは?

労働組合活動を行っていて常に課題となるのが情宣活動です。なぜ常に課題となるかというと、それはただ1点。

伝えているのに伝わらない

という事実(執行部が抱く感覚)が存在するからです。

本記事では、労働組合活動の情宣活動の方法と、労働組合執行部として理解しておきたい事をお伝えします。

労働組合の情宣活動の種類とメリット・デメリット

情宣活動はまず大きくわけて2つに分類され、それは自労組の組合員に対するものか、あるいは対外的なものかとなります。これは大きく性質が異なりますが、本記事では組合員向けとします。

①広報誌

広報誌は最も活用されるツールのひとつですが、以下の要素により相当程度、出来上がりに差が生じる事となります。

  • 掛けられる予算
  • 掛けられる時間
  • 広報頻度
  • 執筆者の文章作成力
  • デザイン力

掛けられる予算

まず予算については想像がしやすい部分ですが、運動方針や議案書はともかく、普段の情宣活動に多くの予算を割く(印刷等を外注する)ようであると「組合費の無駄」と批判されることに注意が必要で、しっかりメリハリをつけた運用が大切です。

とは言え、何より大切なのは予算に基づいた執行です。無駄を省く事は大前提ですが、一定の批判はやむを得ない事と考えて大丈夫です。

掛けられる時間

専従役員がいればクリアしやすい問題ですが、大企業以外で専従役員を持つ事は、予算や会社の理解の部分で非常に難しい事です。

そのような多くのケースで業務後や休日に時間を割くわけですが、しっかり役割分担しないと誰か一人の負担が重くなってしまう事に注意が必要です。また、自ら実質的な「長時間労働」とならないよう気をつけてください。

広報頻度

広報頻度については、団体交渉等の経過・結果報告のみにならないよう、注意する事が大切です。多くの組合員は、賃金の交渉に”だけ”期待しているケースが残念がながら多く、さらに広報も(不本意な妥結に至りうる)賃金交渉だけでは、活動自体に批判が及ぶ恐れがあります。

団体交渉の広報は最も重要視される部分ですが、運動方針に基づいた活動報告を定期的に行う必要がある事に、留意が必要です。

執筆者の文章作成力

最も大切な部分です。広報内容にもよりますが、文章作成能力の高い人材に記事作成を任せる事が肝心です。これは社会に出るまでに身に付けた素養による部分が大きいものの、適切な指導である程度の能力を身につける事ができます。

ただし、巧い文章を書く事と、読み手が引き込まれる文章を書く事は全く別です。ちなみにこの記事のような言葉使いはかなり悪く、堅すぎます(ただし組合役員向けの文章としては、堅めが好まれる)。

校正に細心の注意を払う人ほど、得てして「巧いけどつまらない」文章を書きがちになるので、読み手を意識した文章、適切な改行を心がけたい所です。

デザイン力

デザインというと難しいように感じますが、写真・イラストなどを意識して用いる事が大切です。多少文章がいまいちでも、活動写真でほぼカバーする事ができます。文字よりも視覚で伝える方が、情報量が圧倒的に多いからです。

根本的に文章はあまり読まれないと思っていた方が良く、写真は積極的に撮影して置きましょう。1~2万円程度のデジタルカメラよりもスマートフォンの方がきれいな写真が撮れますが、やはりデジタル一眼やミラーレスを用いたいところ。

また撮影技術の高い方がいれば大丈夫ですが、そうで無い場合はたくさん撮影する事です。「一応もう1枚」など2,3枚程度しか撮影しないのは避けましょう。プロのカメラマンほど、同じ場面で何枚も、時には数百枚も撮影します。

広報誌で使用できるフリーのイラスト素材は改めて紹介するまでもありませんが、「いらすとや」と「イラストAC」でほぼカバーできます。

いらすとや

イラストAC

②組合員向けインターネットサイト

①は文体を堅くしましたが、敢えてここからは少し柔らかく書きますね。与える雰囲気にも注意してみてください。

さて、組合員向けのサイトは幾つか種類がありまして、組合員限定サイトとすると、ほとんどのケースで所属する会社や事業所のネットワークを使う事になります(イントラネット)。

イントラは導入しやすい事や公開範囲を限定的に出来る事が最大のメリットなんですが、そもそも労使で信頼関係が無いと導入できませんよね。逆に言うと「御用組合だろ!」という批判を受けやすくなってしまうのですが、これは仕方無いかもです。

労働組合単独でサイトを持つ場合

社内イントラ等を使用する場合と、組合としてサイト、つまりホームページを持つ事の最大の違いは、「インターネット検索で表示されるようになる」という事です。

つまりイントラだと「○○労働組合」とググっても検索結果に表示されないのに、第三者がホームページにたどり着けてしまうわけで、運営には注意が必要となってきます。

ですから組合員しか閲覧できないようにIDやパスワード設定する必要が出てくる訳で、外部委託した方がベターです。そして何より、割とお金が掛かります・・。

どれくらいの費用が掛かるかですが、「興味があれば業者に見積もり依頼だして下さい」としか言えないものの、安くてもだいたい初期費用で50万円~、年間のランニングコストも10万円前後ほどは掛かります。組合員数が多いなら、そこまでの金額とは言えないですね。

ちなみに今わたしが記事を書いているこのサイトですが、自分で好きなドメインを取り(○○.comみたいなのですね。このサイトで言うと、https://job-note.net←この部分)、少し設定をいじればIDやパスワード設定もできます。

費用はドメイン利用料が年1,500円程度、そのドメインを運用するサーバー費用が月1,000円くらいで、年間のランニングコストが15,000円弱です。ただし、こんな簡素なサイトでも、こうして記事を掛ける状態にするまでに大半の人は挫折するので安易におすすめしませんが、あなた自身、こうしたスキルを身につけるチャンスにもなりますね。

※サーバーには幾つもドメインを入れられるので、私がこのサイトだけで年15,000円払う訳じゃありませんよ。実質的にはドメイン代の1,500円だけという感じです。

・・少し話がずれたかもですが、要は自前でサイトを持つ場合はしっかりIDと定期的なパスワード設定・変更等、気をつける必要がある事に注意してください。

③組合員と話をしよう

③としましたが、何より大切なのは組合員に直接伝達する事が一番の情宣活動です。オルグ無くして、その他に力を注ぐのは意味なしです。

とは言え、専従者がいない、組合員とすぐ会える環境に無い場合もあるので少し「情宣活動」として広報誌やサイト運営について書いてみました。あっさり目に書いたので参考にしづらいかもですが、また少しずつ掘り下げていければと思います。

組合執行部の情報や想いを伝えるという事

この記事の冒頭に書いた「伝えてるのに伝わらない」という事ですが、これはいくら頑張って情宣活動しても、越えられない壁が存在します。

何が言いたいかと言うと、組合員の多くがそもそも無関心だと言う事です。労働組合としての規模が大きければ大きいほど、この傾向は確実です。それを乗り越えるための情宣活動ですが、頑張っても結構な確率で、徒労に終わります。そしてそれは、決してあなたの力不足では無いです。

だからと言って何もしないのは責務放棄ですから、まずはあなた自身が楽しんでやる事です。勉強しつつ、組合活動に取り組む事です。目的と手段が入れ変わっていると思われそうですが、目的さえ明確にしておけば「手段に力を注ぐ事」は何も誤った事じゃありません。

情宣活動の課題や方法について、執行部や組合員と話し合っていきましょう。ポイントはゼロから意見交換をしてみる事です。楽しんで頑張りましょう!

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