労働組合役員として活動していると、様々な事を勉強する事ができます。
それは恐らく、学生時代や社会人となってからも学んでこなかった事で、組合役員を退任してからも必ず役に立つものです。それを形にしてみたいと思いませんか?
「労働組合で学んだ事を形に?どういったものがあるのか検討もつかないな。」
という方に向けた記事です。
ちなみに本記事の結論としては、ぜひ積極的に難関資格である「社会保険労務士(社労士)」の資格取得を目指してほしい、という事です。 社労士は、労務・人事などの専門家と認められるの唯一の国家資格。それはなぜか、以下に解説していきます。
「社会保険労務士の資格」をまずさらっと知りたい方は、オンライン講座の無料資料の請求をおすすめします。
学校に通うのは働いていると難しいですし、出費も多くなってしまいますね。
労働組合役員として社会保険労務士を目指したい理由
一般的に資格取得というと、以下のような事が思い浮かびますよね。
- 資格をとって就職したい
- 資格で転職し、年収を上げる
- 自己啓発としての資格取得
労働組合役員として、社労士を目指して欲しい理由は、上記いずれにもあてはまるからです。いやもっと、社会人としてのスキルを示す、絶対的な武器になり得ます。それほど評価されうる資格です。
「別に、労働組合役員じゃなくても社労士目指せばいいんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれません。では、なぜ労働組合役員に社労士の資格をおすすめするかというと、2点。その受験資格と試験内容にあります。
社会保険労務士の受験資格
社会保険労務士の受験資格は細かくあるのですが、もしあなたが以下に該当すればすでに受験資格があります。
- 短大・大学卒業以上の学歴
- 組合専従として3年以上の経験
「・・いや私は専従じゃないから受験できないな」と思った方でも大丈夫です。先に行政書士の資格を取得しておけば、受験資格が得られます。
社労士の資格はしっかり勉強しないと難しいものですが、行政書士であれば2~3ヶ月程度そこそこ勉強すれば比較的簡単に取得できます。
専従1年目、2年目くらいでしたらちょうど勉強をスタートするには良い時期です。あなたがこの先、何期専従役員を務めるかは分かりませんが、最低3年程度は専従役員として過ごす確率が高いでしょう。
社会保険労務士の試験内容
なぜ、労働組合の役員に社労士という難しい資格をお勧めするかの最大のポイントがここで、試験内容の半分がそもそも組合役員であれば知っておきたい内容(もしくはすでに理解している事)であるからです。
社会保険労務士の試験内容は大きく2つに別れ、「労働保険」「社会保険」です。そしてこのうちの「労働保険」の分野こそ、日々組合役員として知らず知らずのうちに学んでいる分野です。
社労士試験における労働保険の分野とは
どういった内容かざっくり言うと、以下の通りです。
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法
- 雇用保険法
- 労働保険徴収法
- 労働管理その他の労働に関する一般常識
この見出しだけみるといくら労働組合役員としても難しそうですし、今の知識に加え、もちろん勉強が必要です。ただ一番大切な「勉強に対するとっつきやすさ」が圧倒的に高いのです。知識ゼロから勉強するというよりは、今ある知識を確実なものにしていく、といったイメージです。
例えば平成30年度の試験内容の一つですが、正誤で回答する、以下の問題が出題されました。正しいでしょうか、誤っているでしょうか。考えてみてください。
労働基準法第4条の禁止する賃金についての差別的取扱いとは、女性労働者の賃金を男性労働者と比較して不利に取り扱う場合だけでなく、有利に取り扱う場合も含まれる。
あらたまって「問題」として出されると難しい感じがしてしまいますが、とっつきやすい問題だと思いませんか?何より組合役員として理解しておきたいものです。ちなみに回答は「正」で、簡単かなと感じた時点で適正ありです。
もちろん難しい問題もありますが、そういった問題を今の段階でわざわざ探して「資格取得は辞めとこう」と思うのは非常に勿体ないものです。まずはチャレンジです。100点満点をとる必要も無いのでそこは心配がいらず、おおむね総得点で7割程度とれば大丈夫です。
難関資格である社会保険労務士の分野のうち半分、それが労働組合役員であれば非常に取り組みやすく、理解しやすい分野であるという事実、これは非常に恵まれた事なのです。
社会保険の分野はどういった問題か
労働法関係についてはあまり心配する必要がなく、むしろ興味をもって取り組める分野です。しかしもう半分の、社会保険はしっかり勉強したいところ。
とはいってもこちらも知識ゼロからのスタートとなるかと言うとそうでは無く、あなたが会社員として過ごしてきた期間があれば、「知ってる言葉が何も無い」なんていう状況にはなりません。
どんな資格受験にしても「専門用語」ですぐつまづき、諦めてしまうものですが、それがありません。こちらも一例として平成30年度の、厚生年金法における正誤問題を紹介します。
産前産後休業期間中の保険料の免除の適用を受ける場合、その期間中における報酬の支払いの有無は問われない。
答えは「正」で、それはともかく、知らない言葉はここには無い筈です。
労働組合役員なら社会保険労務士を目指そう
以上のように、社会保険労務士の資格は、労働組合の役員であればスタート段階ですでにある程度の予備知識は備えています。それを生かさない手はないのです。
社労士試験の合格率は、例年7%前後と、かなり低いです。それを聞いて「難しいから辞めよう」と思うのであれば、辞めて置いたほうがよいと思います。決して簡単な試験ではありません。真剣に取り組む必要があります。
しかしその低い合格率が意味する事は、大きな価値がある資格であるという事に他なりません。もし「合格率が70%」のような資格を取得したところで、何か大きな意味があるでしょうか。ありませんよね。
いろいろ下調べしてから勉強に臨もうとする方もいますが、そういう方に限って結局挑戦しようとする前に諦めてしまいます。いつかは組合役員も退任の時がきます。その時に形となるものに、ぜひ挑戦してみてください。